素敵な勘違い 〜負け組同士のラブバトル〜
「真琴……?」
「阿部和馬……」
しばし見つめ合う二人……と思ったら、
「ぷっ」
阿部和馬が笑った。
「お前さ、なぜにフルネーム?」
「え?」
「“阿部和馬”ってさ……」
「ああ……。いつもそう呼んでるから。心の中で」
「なるほどね。今日のお前、飲み過ぎだぞ? 早く寝た方がいい」
「…………」
「じゃあな」
阿部和馬は優しい顔で微笑み、私の頭にそっと手を乗せた。そんな事されたら、余計に……
「いや!」
私は阿部和馬にガバッと抱きついた。彼のがっしりした背中に手を回し、彼の広くて平らな胸に頬を寄せると、汗やその他の、よくはわからないけど、彼の臭いに包まれ、でもそれは、決して不快ではなかった。
「お、おい……」
「行かないで?」
阿部和馬は私を押し返そうとしたけど、そうはさせじと、私は彼の背中に回した手にグッと力を入れた。でも……
やはり男の力に敵うわけもなく、阿部和馬に肩を掴まれ、グイッと押し返されてしまった。
「やっぱり、私なんかじゃその気にならないのね?」
残念だけど、そういう事なんだと思う。私がこれだけ大胆に迫っても、抱いてくれないという事は……
そう思ったら、情けなくて泣きたくなってしまった。
「阿部和馬……」
しばし見つめ合う二人……と思ったら、
「ぷっ」
阿部和馬が笑った。
「お前さ、なぜにフルネーム?」
「え?」
「“阿部和馬”ってさ……」
「ああ……。いつもそう呼んでるから。心の中で」
「なるほどね。今日のお前、飲み過ぎだぞ? 早く寝た方がいい」
「…………」
「じゃあな」
阿部和馬は優しい顔で微笑み、私の頭にそっと手を乗せた。そんな事されたら、余計に……
「いや!」
私は阿部和馬にガバッと抱きついた。彼のがっしりした背中に手を回し、彼の広くて平らな胸に頬を寄せると、汗やその他の、よくはわからないけど、彼の臭いに包まれ、でもそれは、決して不快ではなかった。
「お、おい……」
「行かないで?」
阿部和馬は私を押し返そうとしたけど、そうはさせじと、私は彼の背中に回した手にグッと力を入れた。でも……
やはり男の力に敵うわけもなく、阿部和馬に肩を掴まれ、グイッと押し返されてしまった。
「やっぱり、私なんかじゃその気にならないのね?」
残念だけど、そういう事なんだと思う。私がこれだけ大胆に迫っても、抱いてくれないという事は……
そう思ったら、情けなくて泣きたくなってしまった。