素敵な勘違い 〜負け組同士のラブバトル〜
と思ったのだけど……


「違うよ。そうじゃない」

「えっ?」

「むしろ逆で、俺はさっきからそれを抑えるのに必死なんだ」


阿部和馬から意外な言葉が返って来た。でも、どうして抑える必要があるんだろう……


「どうして抑えるの?」

「嫌だからさ」

「なんだ、やっぱりその気になれないって事じゃない……」

「違う!」

「え?」

「そうじゃないんだ。俺が嫌なのは、お前と体だけの関係を持つ事なんだ。そういうのじゃなく、ちゃんとしたいんだ」

「ちゃんとって?」

「ん……何て言うか、大事にしたいって言うか……」

「私の事を?」

「それもあるが、気持ちかな」

「気持ち?」

「あるいはプロセスと言った方がいいかもしれない」


阿部和馬の言う意味がよく解らなかった。解るような気もするのだけど……


「やっぱり、今夜話そうと思った事を話すよ。これから……」

「うん」


阿部和馬がとても真面目な顔で言うものだから、私までドキドキしてしまった。いったいどんな話なんだろうか……

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