素敵な勘違い 〜負け組同士のラブバトル〜
「婚約!?」

「そう。俺はお前にプロポーズしたつもりなんだけどな」

「ぷ、プロ、プロ……」


いつか何かで見た、タキシードを着た花婿と、純白のウェディングドレスを身に纏った花嫁が、眩しいばかりの陽を浴びて教会の前に立ち、大勢の人達に祝福されてニコニコ微笑む。そんな映像が目の前に映し出されたと思ったら、クラクラっと目眩がしてしまった。


「お、おい、大丈夫かよ?」


私は足元がよろけてしまったのだけど、すかさず和馬が支えてくれた。力強い手で、しっかりと。


「え、ええ、ごめんなさい。急だったから、びっくりしちゃって……」

「俺こそごめん。焦り過ぎたかな。早くしとかないと、他の奴に取られそうで……」

「え? 何を取られるの?」


和馬が不思議な事を言い、私は彼を上目遣いで見た。

傍(はた)から見た私達は、公衆の面前でイチャついてるバカップルそのものだと思う。でも、和馬じゃないけど、今はそんな事に構ってなんかいられない。人生の一大事なのだから。


「もちろん、お前の事さ」

「私? どういう事?」

「お前さ、自覚ないのか? このところどんどん綺麗になるから、俺は心配で心配で堪らないんだぞ? 例えばあのエロ係長がまた言い寄ってないか、とかさ……」

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