素敵な勘違い 〜負け組同士のラブバトル〜
「ねえ。気付かなかった私もどうかと思うけど、ちゃんと言葉で言ってほしかったなあ」

「プロポーズか?」

「うん……」

「そうか。でも、照れ臭いなあ」

「今さらじゃない? 早く……」


私はそうおねだりをし、本当に照れ臭そうにする和馬の言葉を待った。たぶん、ご飯を欲しがる仔犬のような顔をして……


「わかった。言うよ。俺、しばらく前から考えてたんだ。もし司法試験に受かったら、真琴にプロポーズしようって。だから、密かに指輪を買っておいたんだ。

と言っても、取り敢えずの難関は突破したものの、検事への道はまだまだ険しいし、最低でも一年はかかる。それまでは今のままのアルバイターだし、下手したらアルバイトも出来ないかもしれない。このところサボり気味の勉強を再開しないといけないからね。そうなれば当然無収入だから、実家に援助してもらう事になる。

そんなわけだから、実際に結婚できるのは1年後かもっと先になるけど、それまで待っててほしいんだ。いいかな?」


和馬の話になるほどなと思ったけど、私は迷うことなく即答した。


「イヤ」

と……

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