至上最強の総長は私を愛しすぎている。~DARK NIGHT~Ⅰ
「いたっ……」


「ちょっと我慢して。女の子なんだから、顔に傷が残ったら色々マズいだろ?」


「……ありがとう……」


唇や口の端が切れていて、そのひとつひとつを旬が丁寧に手当してくれる。


大翔と二人三脚でテキパキとこなす姿は、看護師になれるんじゃないかと思うほど。



……暴走族なんて、きっと生傷の絶えない世界。


自然にに身につくのかな。


そんなことをぼーっと考える。



「……」


「……」


旬も大翔も、無駄口を叩くことなく手当に集中してる。



耳には、外で鳴いている鈴虫の声。


車の中は怖いくらいに無音だった。
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