至上最強の総長は私を愛しすぎている。~DARK NIGHT~Ⅰ
-6-
車から覗く埠頭は、さっきとはまた顔を変えていた。


地割れするような爆音が一帯を支配し、その音はこれから始まるショーの序章のようにも感じた。


同じ方向を向いたバイクや車たちが、出発を今か今かと待っている。


「そのうざい貧乏ゆすりやめろよ」


隣に座った和希が、落ち着かないあたしに苛立ちを募らせた。


「これ貧乏ゆすりじゃなくて震えてるの」


「は?もっと駄目だろ」


馬鹿にしたような口調に多少イラッときたけど、反論する余裕もないから無視しておいた。



今日の今日まで暴走族と無縁の世界にいた一般人のあたしが、この群衆を見て怯えないわけがない。


お世辞にもカッコイイなんて思う余裕はなかった。
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