至上最強の総長は私を愛しすぎている。~DARK NIGHT~Ⅰ
「動くなと言っただろう?」


眉を寄せながら歩いてきたテルさんは、あたしに苦言を呈した。


その後ろからは、相変わらず面白くなさそうな顔をした和希。


「犬だって"待て"出来るぞ」


……ッ。


「支部の奴に連れてかれりゃよかったのに」


罪悪感から反論すらできないあたしをいいことに、和希は悪態をやめない。


「ヤられちまって、もう二度と――」


「和希、黙れ」


それはテルさん……じゃなくて凌牙だった。


低く冷たい声だったけど、それはさっきの族に切り落としたものとは種類の違う、どこか"哀"を持ったもの。


「……」


和希は悔しそうに、口を噤んで凌牙を見上げた。
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