【短】50-50 フィフティ・フィフティ
残念だけれど、時代の流れというもので、仕方ない。
建物はかなり老朽化している。
最後のお別れをしたくて、私がやってきたのは、朝1番の上映。
地球滅亡の危機を救う戦士達の物語は、ロングランヒットしている作品だから、面白いのは間違いなしだ。
コーラとポップコーンが朝食代わり。
観客は、後ろの列に2,3人座る程度でガラカラ。
でも、混んでるよりは…ずっといい……
私はあくびをした。
始まるまで、まだ少し時間があった。
18の時、看護師になるために東京の短大へ進んだ私は、1度もホームシックになることがなかった。
高2の時、母親が再婚。
その相手の男が大嫌いで選択した進路だったけれど、私は羽根を得ることが出来た。
それほど都会の水は、私に馴染んだ。
もちろん、看護の道は険しくて、厳しくて。
泣きながら眠った夜だって、数え切れないけれど。
胸を張って言える。患者さんの世話は私の天職。
やり甲斐のある仕事を見つけた私は、幸せだと思う。
今は、大学病院の整形科病棟で忙しく働いている。