変愛
「オカンが彼女を絶対連れて来いって言い出した…。
本当に居るんかって?結婚するんなら
連れて来いって…
来週大丈夫?」
中川家と仲違いして、
もこみちがもこみちじゃなくなり初めて、唐突に言われた。
結婚って…?
母親とどんな話をしているのか判らないが、結婚は初耳だ。…そう言えば、結婚まで大切にするとは言われたけど…。
なんかおかしな事になっている気がした…。
私は考えた。
中川家はもこみちが好きなんじゃないか。
そして、もこみちもだ。私は二人の仲を邪魔してるのではないだろうか?
そう考えた私は身をひくために、泣いた赤鬼の昔話を実行した。
赤鬼の為に、憎まれ役になって身を引いた青鬼。私は憎まれ役を演じた。
私が居なくなると
中川家ともこみちのお互いの気持ちが伝わると思ったからだ。

人に嫌われる方法は辛かった…。
人を傷付けるのも
きつかった。
もこみちの悲しみにみちた顔。
人を傷付たら自分も同じ様に傷付くって知った…。
別れてから、もこみちを紹介してくれた先輩が嬉しそうに私に聞いてきた。
「何かしたでしょ?」

瞬間、先輩も、もこみちが好きなんだと思った。
先輩の話では
もこみちが先輩を怒鳴ったらしい。
大人しい子が突然
きつくなって、挙げ句、別れるとか言い出したからと…。
もこみちは…

「女の子は訳判らん。当分彼女いらん…

と言ったらしい。

「…ちゃん純情すぎたんじゃないの、あんたなんかした?」
と先輩が聞くと

「何もしてないよ!」

って、もこみちに怒鳴り返されたらしい。
中川家と、もこみちの仲は元に戻ったらしい…。
先輩が呟いた。

「あいつら
いつも一緒だわ…」

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