変愛
仲良し
速水もこみち似の彼は案外まめな人で私に毎日電話をして来た。
しかし、もこみち似の彼が日勤の時は良かったが、夜勤になると話は変わった。
深夜に電話が掛かって来るので、一旦眠りに入って、起こされる形になるから。
何日かするとかなり肉体的にも頭的にも 疲れが出始めた。
せっかくの好意。
ムッツリした喋り方 で迎える訳にはいかず、私は極めて明るい声を出して話を盛り上げていた。
そんなある日、
速水もこみち似の彼がこう言った。

「あのさあ~
電話するの夜勤の間 止めるわ
夜勤の休憩時間って貴重だから寝りたい。」

深夜の電話に、少々疲れ気味の私には、願ってもない申し出だったが、その後のもこみち似の彼の言葉にあ然とした。
もこみちが曰わく
中川家弟似の彼に言われて私に電話をかけていたらしい。
中川家弟似の彼が言わなければ、毎日私に電話なんてしなかったと言うのだ。
私は腹がたつよりも、もこみち似の彼に呆れてしまった。
彼はあまり賢くはないらしい。
中川家弟似の彼に言われてと、言わなければ、彼に対する私のイメージが変わっていただろうに…。

天は二物は与えなかったらしい…
それでも私は、彼の良い所を探すように務めた。
嫌な面は目につきやすいからだ。

カラオケでは、毎回中川家弟似の彼が盛り上げてくれた。
煙草を吸わない私を気遣って、外に出て煙草を吸うように
中川家弟似の彼が指示し、私が退屈しないように盛り上げてくれたり。

煙草は、構わないと言った私に、中川家弟似の彼が大事な体だからと付け加えた。

「なんか妊婦みたいだね。」

と笑いながら言う私に、中川家弟似の彼が意味深に微笑んだ。
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