君と手を繋げる関係。
そしてとうとうこの日がやってきたのだ。


「…私のクラスは…っと」

ゆっくり深呼吸をして、クラス発表の紙を睨むように見つめる。
まずは一組から―――。そう思いながら慎重に目を動かす。


【1年1組1番 秋山 さやか】


ふっと緊張がとけるような感覚になった。

秋山の「あ」は出席番号1番。
それは小学生のころから変わらなかった。

1年1組1番。

つまり、だ。

私の記念すべき、中学校初のクラス発表の緊張感と興奮は


たった4秒で終わったのだった。


「さやは1組かぁ」

「1組?たしかイケメン多いって、さっき言ってたよ!!」


私の親友は口々にそう言った。


「んんー…2人は?」


「私は…3組!!」

「4」


案の定、同じクラスになることはなかった。
5クラスもあるのだから、当り前なのかもしれない。


「真希ちゃん!!クラスどうだった?」

近くにいた、仲の良い友達にふと声をかけた。


「私は五組……遠いね」


真希(まき)ちゃんは悲しそうにそう言った。
つられて私も、じわりと目尻に涙のようなものが込み上げた。



「クラス離れても友達だよ」


真希ちゃんのその言葉に、少し安らぎを感じた。


言葉の繋がりほど薄いものはないと、小さい頃に誰かが言っていたような気がしたことを、私は忘れていたのだ。


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