俺が嫌いな理由
プロローグ
アメリカについてから一週間がたった。その間に、事務所の片付けやなんやらで大忙しだった

そんなある日…
朝起きると、隼がいなくなっていた。
事務所に行ったのか…早いな…。忙しくなってきたのかな~!!事務所の仕事が栄えるなら、俺も嬉しい!!

プルルル…♪
俺の携帯にメールが入った。
あ、黛騎からだ。何だろ…。

「急ぎの仕事なんだが…ウエディングビルの3階で準備を済ませて、5階の教会室に向かってほしい!!」

ウエディングビルって、なんの仕事なんだろ…。準備?何だろ?


ガチャ
「田辺さま!!お待ちしておりました!!」
なんだ…このにこにこした人たちは…。

「あの、準備というのは?」
「取り合えず、ここにお座りください。目を閉じてしてくださいね!!」
俺が椅子に座るなり、顔をパタパタされて、何か目に塗られて、頭に何かをつけられたのか、頭の上でパチンと音がした。

「田辺さま、目を開けてみてください…。」
俺が目を開けると、鏡には化粧をした俺がいた。化粧といっても、アイラインを引いただけのようだけど。

担当の人に案内されて、教会室の前にきた。
「準備整いました。開けてください。」
そんなマイク使わなくても、俺が開けるのに…。

モヤモヤしながらドアが開くのを待ってあると…。

ギィィイイ
俺の目の前にはキラキラした世界が広がっていた。
俺は、白いスーツに着替えさせられていたけど、赤い絨毯の先には黒いスーツに身を包んだ隼が待っていた。

「え?」
「お進みください!!」
俺が一歩ずつ中に入ると、高校時代のクラスのみんなが両脇にいた。

俺は、やっと気がついた。ここは結婚式場で、俺は、お嫁さんになっているわけで…。

どうしよう…みんなの拍手の音がはっきり聞こえるようになったとたん、すごく嬉しくなってきた。…あ、泣きそう…。

「由吾!!」
呼ばれた方を向くと、優しい顔をした隼が俺に手を伸ばしていた。
「?」
俺が首をかしげると、隼はフッと笑った。
「手をとって隣においで、俺だけのお姫様…。」
はずっ!!
俺は、真っ赤になりながらも隼の手をとって、隣の段に上がった。

神父役は、黛騎だと上がってから気がついた。←俺の背が低かったんじゃなくて、うつ向いていたから…見なかったんですよ~!!

「えっと、いろんな時も妻を愛すことを誓いますか?」
ガクッ
雑だな~!!
「はい。ククク…ち、誓います…ククク…。」
隼は必死に笑いをこらえてる。
俺も一緒だけど…。
「えっと、あなたも誓いますか?」
もっと雑になってるし…。
「はい。誓います…。」
俺は早口で答えて…必死に笑いを押さえた。

「では、指輪の交換を。」
え、指輪何て準備できてない…あれ?隼が持ってるあれって…指輪だよね?

「由吾…手、出して。」
俺は右手を出してしまっていた。
隼はそっと俺の左の腕をとって優しく指まで誘導した。
「あ…。」
やっちまった。恥ずかしい!!
「大丈夫だから、そんなに固まらないで。」
俺はコクリとうなずいた。

無事、指輪の交換を終えた俺たちを待っていたのは…。
「ではでは、誓いのキスといきますか~!!!!!!」
ですよね…。
急に緊張が…。

固まる俺を隼はそっと自分の方に向けると、俺の頭につけられたヒラヒラして顔の前に掛かっているやつを後ろに回して俺の顎を優しく持ち上げた。

「あ、あの…。」
「目を閉じてろ。怖くないから。」
俺はそっと目を閉じた。

チュッ
唇が離されて、そっと目を開けると、皆の歓声が上がった。

「お前のこと…やっぱり好きだ…!!」
「え?」
隼は俺の腰に手を回して、甘いキスを落とした。

歓声はもっと大きくなった。

「プハッ…。」
「フッ…可愛い!!」

式は着々と進んで、記念写真の時間となった。

俺は式の間気になっていたことを、聞いてみることにした。
「隼…いつの間にこんな大きな式の準備を?」
「う~ん、だいぶ前かな?」
「そうなの?…ありがとう!!」
「フッ…どういたしまして!!」

『ハイハイ!!では、撮りますよ~!!3.2.1、はい!』

パシャ!!

俺は、式が終わって、自分のまだ開けてなかった段ボールを開いた。
高校時代に書いたタイムレターがまだ入っていた。悲しい話ばっかり書かれてる。

そうだ!過去の自分に返事でも書こうかな~!!

~昔の俺へ

高校の時の俺は、こうなることなんて…考えてたのかな…。多分、思い付きもしてなかったんだろうな~。

昔の俺!!今の俺はスッゴク幸せになってる!!だから、死んだりすんなよー!!なんてね。
とりあえずは、隼を諦めないのが…一番いいかもな♪ 未来の俺より~

「由吾?誰宛の手紙書いてるんだ?」
「ん?昔の自分に!!」

「へぇ…、俺を諦めないのが大切?」
「あ、見るなよ~!!」
恥ずかしいなー…。

すると、隼は急に俺を後ろから抱き締めた
「俺、お前を幸せにできてる?」
「て…当たり前じゃん!!」

「フフッ…ありがとー…。」
スッ
「え?ちょ、ちょっと?」
「ン~?」
いや、ン~?じゃなくて!!
「どこ触ってんだよ!!」
「どこって…ここじゃん?」
「ひゃぁ!!」
隼の手は、俺のそこに延びていた。

「フフフ…、可愛い~。」

やっぱり、隼のこと…嫌いだ~!!



          end!!!!
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