カノジョノカケラ
「614…6?」

一瞬。それは一瞬のことだった。

僕の脳が、冷酷な判断を下したのは。

「…嘘…だよな…?」

だが、嘘じゃないのは分かっていた。

僕は気力を失い、その場にへなへなと座り込んだ。僕のうつろな目は、6144と6166の間をぼんやりと眺めていた。

「太陽さん…。」

気まずそうに飛鳥が話しかける。僕は返事をする気力さえも持ち合わせていなかった。

視界がぐるぐると回る。僕がどこにいるのか分からなくなってくる。

これが「落ちる」ってことか。高端の時にも分かってたつもりになってたけど、本当は全然分かってなかった。

こんなにショックなことが実際に起こるとは。

でも、落ちたということそれ自体よりももっとショックなことがあった。

…飛鳥と、一緒にいられない。

それが、何よりも辛かった。

「ゴメン…。」

僕はうつろな目のまま、独り言のように呟いた。

「…謝ることないですよ、太陽さん。今回は偶然、問題との相性が悪かっただけだと思います。」
「いや、違う…。」
「違わないです。」

飛鳥が優しく、だがきっぱりと言った。そして、その場に座っている僕を抱きしめて、励ましてくれた。

「来年…頑張って下さいね。私、待ってますから。」
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