カノジョノカケラ
「あ…。」

ハート形の箱を持った、高端が立っていた。

「澄鈴ちゃん…?」

飛鳥も高端に気づく。

「わ、悪かったわね、二人の貴重な時間を邪魔して。ささ、どうぞ、続けて。私、別に待ってるわけじゃないし。」

嘘を言っているのはバレバレだった。

「…来たかったら、来たらいいじゃん。」
「え…?」
「嘘、全然つけてない。」
「…。」

高端は下を向きながら、僕達の方に歩いてきた。

「澄鈴ちゃん…。」
「…。」

高端は黙って下を向いている。言いたいことはあるのだが、言えない。そんな様子だった。

「…私はここにいないって思って、言いたいこと言って…。」
「飛鳥ちゃんもここにいて。」

飛鳥の言葉を遮って、高端が言う。

「私、さっきの話聞いちゃったから…。私は聞いたのに、飛鳥ちゃんは聞かないっていうのは不公平でしょ?だから…飛鳥ちゃんも、聞いてて。」
「…うん…。」

高端は顔を上げ、僕に告げた。

「前も言ったけど…私、好き…だから。これ、私の気持ちなんだけど…受け取ってくれる…?」
「…待って。」

飛鳥が口をはさんだ。

「それなら…私と澄鈴ちゃんと…どっちにするか、決めて下さい。」
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