カノジョノカケラ
警察の方々がゾロゾロと映画研究部の部屋に入って行き、蒼衣ちゃんの遺体の周りで色々と調べ物をする。

「警部、被害者は河合蒼衣、十七歳。ここの生徒で、映画研究部の部員です。所持品はケータイのみです。死亡推定時刻は、今日午前十一時から午後二時までの間です。」
「そうか。情報ありがとう。」

刑事さんは咳払いをすると、僕達に警察手帳を見せた。

「警視庁捜査一課の二宮三哉(ニノミヤ・ミツヤ)です。とりあえず形式的な質問として、皆さんの名前と、皆さんが今日午前十一時から午後二時までの間、どこで何をしていたか、聞かせてもらえますか?」
「はい…。」
「じゃあまず…君から。」

刑事さんの視線は、僕の視線と合ってしまった。

「あ…天原高校三年、安堂太陽です。

その時間はひたすら模擬店の準備をしていました。でも途中、蒼衣ちゃんが僕達の部屋に来て、僕を屋上に呼びだしたんです。確か午後一時くらいだったと思います。

呼び出された僕は蒼衣ちゃんと話をしたんですけど、突然蒼衣ちゃんは降りて行ってしまって…。僕は部屋に戻ったので、蒼衣ちゃんのその後の行動は知りません。」
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