カノジョノカケラ
僕は飛鳥との初デートをした。
それから二週間の時が流れた。

飛鳥の怪我は完全に治った。

例年より遅めの初雪が降り、冬の訪れを改めて実感していた。

世間は今、恋人達の祭典として名高いクリスマスを祝おうと騒がしい。

今は冬休み。クリスマスイブの前日。言わばイブイブ。

「はぁ…。」

僕は部屋でため息をついていた。

去年までのクリスマスなら、僕は葉月と一緒にいた。さっきも言ったように、これは恋人達の祭典だ。葉月といない方が不自然だ。

ただ…今年からは、どうしよう?

「どうしたんですか?」
「いや…今年のクリスマス、どうしようかなって…。」
「クリスマス?」
「ほら、その…悲しいことに、予定がないから…。」
「暇、なんですか?」
「そう。」
「だったら…。」

飛鳥はうつむいた。みるみる内に耳が赤くなっていくのが分かった。

「私と…デートしてくれませんか?」

僕の方を再び見た飛鳥の顔は、耳と同じような赤い色をしていた。
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