カノジョノカケラ
「そうでしたか…。」

飛鳥の顔は「悪いことを聞いてしまったかも」という顔だった。

「僕…馬鹿だよね。自分で立てた誓い、自分で破っちゃうなんて…。」

飛鳥はしばらく黙っていたが、やがて言った。

「…人間って、皆そんな感じだと思いますよ?」
「どういうこと…?」
「人間って、わ…天使とか神様みたいに完璧じゃないじゃないですか。だからそんなことくらい、誰だってあると思いますよ。」
「飛鳥はそういうことはないの?」
「私も…時々あります。」

時々かよ、と思ったが、反論できる立場じゃない気がした。

「だから、そう落ち込まないで下さい。私、今日一日中太陽さんと一緒にいられて楽しかったですから。」

そして、飛鳥は僕に天使のような笑顔を見せた。

イルミネーションを身にまとった街路樹は、今日という特別な日を祝福していた。相変わらず雪が降っていたが、寒さはそこまで感じなかった。

…これは今の段階では余談だが、飛鳥が見せた「天使のような笑顔」というのは、本当に「天使」のような笑顔だった…。
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