カノジョノカケラ
「寒くないですか、こんなところにいて?」
「大丈夫。僕、寒さには強いから。」

…とは言っても、飛鳥が僕にかけてくれたブランケットは心地いい温かさを僕にくれた。

「うらやましいです、それ。私、結構冷え症で…。」

飛鳥は手をこすり合わせ、白い息を手に吹きかけた。

「だったら飛鳥の方が寒くない?」
「平気です。…太陽さんが、傍にいてくれますから。」

すると飛鳥は、僕に寄り掛かって来た。

飛鳥はブランケットを自分の体にもかかるように少し引っ張ったので、体が今までにないほど近い、というか、密着していた。こういう時、世の女性はときめくのだろうが、これは男でもドキドキする。

「…あのさ。」

いい機会だと感じたのだろう。僕は思い切ったことを言ったのだった。

「飛鳥は…僕のこと、どう思ってる?」
「えっ…?」

飛鳥は戸惑いを隠せず、明らかに顔が赤くなっていた。やはり取り消した方がいいと思った僕は、心なしか飛鳥との距離を置いてから言った。

「ゴ、ゴメン。変なこと言ったよな…。今の気にしないで。」

しかし、飛鳥は僕をぎゅっと抱きしめていた。

「飛鳥…?」
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