カノジョノカケラ
僕は飛鳥の着物姿に惚れてしまった。
「そうだ、飛鳥。」

初詣に行く支度をしている最中、僕はあることに気づいた。

「何ですか?」
「飛鳥って、着物どうするの?」
「着物…ですか?」
「うん。部活で行く初詣は、着物で行くのが定番だからね。」

それにしても、今時着物を着て初詣に行く人なんているのだろうか?僕は毎年、少し不安になる。

「じゃあ…どなたかの着物、借りることってできますか…?」
「誰かのって言われてもな…。」

その時、僕は思い出した。

葉月が着ていた着物なら、僕もある程度持っていたはず。

その中に、飛鳥にも似合うものがあるんじゃないか…?

僕は飛鳥に少し待つように言うと、部屋を探し回った。

そして、見つけた。

「これなんだけど…着てみてもらえる?」
「はい…。」

飛鳥は隣の部屋に入って行った。

…似合うだろうな…。と飛鳥の着物姿を妄想しているうちに、飛鳥が部屋から出てきた。

その姿に、僕の心が奪われていくのがはっきりと分かった…。
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