カノジョノカケラ
僕は窓から空を見上げた。
回ったら、伝える。

回らないなら、そのまま。

二つの思いが流転する。

回ったら、伝える。

回らないなら、そのまま。

回ったら…回らないなら…回ったら…回らないなら…。

回れ!

一瞬だけ、僕は天秤を傾けた。

そしてその一瞬で、僕は祈った。

回ってくれ。想いを伝えさせてくれ。

答えなんて、今はどうでもいい。

バッサリ振られたりしても、僕は…いや、そこは気にするか。

とにかく、ドアノブよ、回ってくれ。お願いだ。頼む。

回れ!

回ってくれ…!

…次の飛鳥の行動は、この祈りが伝わった結果なのか。それとも違うのか。それは分からない。

何故なら、飛鳥の行動は、僕が予想していなかった「第三の行動」だったからだ。
< 68 / 142 >

この作品をシェア

pagetop