カノジョノカケラ
僕の心は、半分に割れていた。その二つが一体何なのかは、説明するまでもない。そして僕の心は、非常にゆっくりと、かつかすかに揺らいでいた。

僕は一体、どうしたらいいのか。

心が映るというありがたい機能を持った鏡が上空にあるというのに、あと一歩のところで答えが出ない。

分かってる。僕は飛鳥と話をするべきなんだ。

でも、ストッパーを掛ける自分がどこかにいる。

そのストッパーが一体何なのかを見つめてみる。

気まずさなのか、ただの逃げなのか。あるいはもっと複雑なものなのか。どちらにしろ、今の僕には必要ない感情だというのは分かっている。

しかし、僕も人間だ。楽をしたい、という欲を捨てることなんて、できやしない。

だから、僕はこうして悩んでいるわけだ。

正直なところ、僕が「楽をしたい」の方に加担すれば、勝負は一瞬でつく。

なのにこんなに迷っているということは、僕が「話をする」方に加担している、ということだ…。

ここまで来て、僕は決着がついたのを感じた。
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