カノジョノカケラ
「確かに、言われてみれば…。」

飛鳥がキョロキョロと周囲を見回す。飛鳥の視線は、どこか無理して笑っているような店員さん達に向けられていた。

「まぁ、笑顔でいるってのは接客業で大事だしね。無理して笑ってなきゃいけなかったりするのかも。深追いはしないでおこう。」

だが、それはあくまでも知らない店員さんに対する話。

僕の知り合いの店員さんがいたら、また話は変わってくる。

「あれ?」

遠くにいた店員さんがこっちを見る。そして、僕達の方に歩いてきた。

「安堂と…飛鳥ちゃん?」

その店員さんが胸に着けていた名札に書かれていたのは…「端本」の二文字。

「端本?」
「澄鈴ちゃん?」
「やっぱり~。何でここにいるの?」
「ん~、話せば長くなるんだけど…。」
「じゃあやっぱりいっか。」
「はぁ…。」

ため息をつく。端本のこういうノリには、もう慣れている。

「澄鈴ちゃん、初詣はどうしたの…?」
「あ…あの後、そのまま解散した。安堂が帰ったのも、何となく分かるから。」
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