カノジョノカケラ
僕は飛鳥を起こしに行った。

すぐ傍に、飛鳥がいるんだ。少しでも、飛鳥と「一緒に」いたい。

「…飛鳥。」
「ん…。」

僕が声をかけると、飛鳥の体がかすかに揺れ、そして起き上がった。

「何か用ですか?」
「いや、別に用ってわけじゃないんだけど…その…ちょっと、話し相手になってもらえないかなって思って。」

間が開く。僕には、この間も不安だった。

「…いいですよ。」

でも、僕と話はしてくれる。だから、僕は間の不安を和らげることができる。

「…ちょっと、質問していいですか?」
「ん?」

窓は開けていないが、外の寒さはガラス越しに見えていた。

「澄鈴ちゃんと…何かあったんですか…?」
「え…。」

かなりピンポイントで聞いてきたな…。

「そ、その…澄鈴ちゃんが質問してた時に、ずっと太陽さんの方を見てたから…。」
「あれか?…あれは…。」

何て答えたらいいか、分からなかった。

高端が何故僕の方を見ていたのか、そんなのは本人にしか分からない。でも、僕が答えをためらっている真の理由は…。
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