カノジョノカケラ
一気に会場に流れ込む人達。僕達もその人波に飲まれていくように中に入った。

「おっしゃぁ!」
「嘘でしょ…。」

他の受検者達の声は悲喜こもごも。

「飛鳥。」
「何ですか?」
「番号…一緒に探さないか?」

二人で同じ掲示板の前に立ち、左上から番号を見て行く。

「0001、0002、0004…。」

僕の番号は「6145」、飛鳥の番号は「4538」。よって、順番に見て行くと飛鳥の番号が先に来ることになる。

「4501、4503、4506…。」

4500番台に突入した。心拍数が上昇しすぎて、周りに聞かれないか不安なほどだ。

大丈夫。飛鳥は絶対通っているはずだ。

どこから沸くのか分からない自信が、今の僕を倒さないだけのエネルギーとなっていた。

「4532、4533、4537…。」

4537。次の番号が、飛鳥の命運を告げる。

視線を少し下に動かす。そこに記されていた番号は…。

「4538…!」

何故か、飛鳥よりも先に僕が泣いてしまった。でも、嬉し泣きだから涙は拭かない。

「やった…やった!」

子供のようにはしゃぐ飛鳥。まずは一安心だ。

…さて、次は僕の番だ。
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