片恋キックオフ





「え? 瑞、女ッカー入ったの⁈」





パパの帰りは遅いから。
わたしと大学1年生のお姉ちゃんとママで、テーブルを囲んで晩ご飯を食べる。





ママが女ッカーのことを言うと、お姉ちゃんは口に持って行こうとした卵焼きをハシの間から落とした。





「そ、そうだよ。
1ヶ月限定だけどね……」




「瑞ってば意外よね。
ばかな夏希(なつき)と違って、運動より勉強のほうが得意なのに…」




「ちょっと、ママ〜?
さりげなくあたしのことばかにしないでよね!

……じゃなくて、本当なの?」




「…うん」





ママが何回も言うように運動は苦手なのにね…。





わたしが頷くとお姉ちゃんは顔をぱあっと明るくした。





「瑞ってば頑張ってね!
瑞はやればできるんだから! ね!」




「えへへ、ありがとー!」





わたしとはなにもかも正反対なお姉ちゃん。
わたしは勉強がそこそこできるけど、お姉ちゃんはいつも赤点ばっかりで。





だけどわたしが運動できないのと違ってお姉ちゃんは運動神経バツグン。





それに、お姉ちゃんとわたしは同じ地の茶髪なのに、お姉ちゃんはふわっとしてて、わたしはパサパサ。





見た目はとくに正反対だと思う。
お姉ちゃんはすごく可愛いと思うから。





だから、そんな勉強以外完璧なお姉ちゃんに褒められると、少し嬉しい。




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