片恋キックオフ
「あたし、先輩のことが好きです!
付き合ってください…」
緊張してるのか震えてる声が聞こえる。
ほら、やっぱり…告白……。
「ごめん、無理」
城川くんの返事の心配してるのも束の間。
城川くんはすぐに冷たく断った。
「付き合ってくれてから好きになってくれればいいので…!」
「悪いけど、そういうの迷惑」
女の子は負けじと言うけれど。
城川くんには効果なし…。
「…っ…。でも!
先輩があたしのこと好きになってくれるまでずーっと、あたしは先輩のこと好きでいてもいいですか?」
「は? つうかさ、俺のこと好きならわかれよ。
いま、大事な大会前なんだよ。そういうことされると本気で迷惑」
城川くんが本当に迷惑そうに言うと女の子は走り去った。
「わーお。なんかすごいのみちゃったね…」
「う…うん」
苦笑いの杏里の言葉にわたしも頷いた。
城川くん、大会前だったんだ。
だったら…サッカーの練習に付き合ってもらうのも、迷惑なんじゃ…。
それに告白なんて到底できないよ…っ。