片恋キックオフ
「あのさ、…やっぱり練習に付き合わなくてもいいよ」
「は? なんで?」
城川くんはすごく驚いた顔になった。
わたしだって…教えてもらいたいけど。
「し、試合前なんでしょ?
…迷惑なんでしょ?」
「は?
…つうか、なんで泣いてんだよ?」
気がついたら目からぽろぽろと涙が零れていた。
なんでだろ……。
悲しいのかなあ?
どんなに頑張って告白しても城川くんにとっては迷惑で。
届かない想いを抱くのは辛い…。
「……好きだけど。迷惑でしょ?」
「…え? 『好き』?」
「わたしは…っ。
し、城川くんのことが好きなの…!
ごめん。 わたし、帰る」
ぐちゃぐちゃの下手な笑顔を見せてわたしが教室から出ようとすると。
後ろから腕を引っ張られて。
———気がついたら、後ろから抱きしめられた。