片恋キックオフ
「め…迷惑じゃないの?」
「あぁ」
「…そ、そっか……」
本当の本当に現実なのかもわからなくなってきた。
もしかしたら都合のいい夢を見てるのかも…。
そんなこと思ってると。
湊くんの腕にさらにぎゅっと力がこもった。
「付き合ってください」
そんな湊くんの言葉は引き金となって、涙がすごい零れる。
わたしは拭いながらコクコクと何回も頷く。
「……お願いします」
視界は涙でボヤけてるはずなのに。
なんだかキラキラしてる。
そっと湊くんの腕が離れて、くるっと後ろを振り返ってみる。
「ふ、泣きすぎ」
湊くんはそう言って、いままでで1番の笑顔になった。
あぁ、もう…。
すっごくキラキラしてる。
わたしはゴシゴシと袖で涙を拭う。
だって…こんなに珍しいんだもん。
ちゃんと、湊くんの笑顔がみたい。