片恋キックオフ





「本当の本当にわたしなんかでいいの…?」




「あぁ」





相変わらず冷たいような口調だけど。
いまは間違えなく迷惑そうなんかじゃない。
だって…笑ってるんだもん。





「ねえ、大会はいつあるの…?」




「来年。 …3月とか?」




「そんな先なんだ…」





応援しに行きたいな。
湊くんのサッカーをしてる姿も、すごく好きだから。





「だけど、練習試合が俺らの学校であるけど?」




「え? いつ?」




「今週の日曜日」




「行く! 応援するっ」





そう言うと湊くんはまた、ふ、と笑った。





わたしにエールを送ってくれたから。
今度はわたしが返す番。





だけどあの練習試合のときみたいな関係じゃなくて。





いまは…こ、恋人っていう関係だから。
なんだかすごく嬉しくて。
ふわふわした気持ちになる。





「あ、俺…部活行くわ。
瑞姫はねぇの?」




「うん」




「そっか。
送れなくてごめんな。 じゃあな」




「気にしないで。

頑張ってね! ばいばいっ」





離れると少し寂しく思ってしまう。





だけど湊くんは前よりも口数が多くなった気がして。
もっともっと、嬉しくなる。





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