片恋キックオフ






*****





———ピーッ





後半開始。
いまのところ1対0で勝っている。





このまま勝てればいいけど。





そう思いながらまたボーッと試合を見ていると。
急にピーッいうホイッスルが鳴って。





センターサークルらへんに人が集まっている。





「え? …なに?」




「わかんない」





わたしが聞くと、杏里も首を振った。
どうしたんだろう。
なにがあったのかな?





「え? み…湊、くん?」





輪の中で座り込んでいるのはおそらく…湊くん。
ケガしたのかな…?





ジャージを着た男の子が、湊くんに肩を貸して、こっちに向かって歩いてくる。





…湊くんの表情はすごく暗そうだった。





「…み、湊くん…!」





わたしが呼ぶと、湊くんは顔を上げて下手な笑顔を見せた。





湊くんは右足を少し引きずっている。




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