片恋キックオフ
小さなイスに座って、わたしに背中を向ける湊くん。
わたしは湊くんの前に行く。
「…大丈夫?」
「あぁ」
「シップ貼るから、足見せて?」
わたしは前いた、入れ替わりの子の穴埋めとして保健委員になった。
だから、場所の把握とかは大体できる。
戸棚からシップを1枚取り出して。
先生の机の上にあるハサミを持って、また湊くんの前にしゃがむ。
「靴下脱いでもらってもいい?」
湊くんは返事をせずに、靴下を脱ぐと。
足首らへんが青紫色に腫れ上がっていた。
すごい、痛そう…。
「なにが、あったの…?」
「相手のヤツに蹴られただけだから。
大したことじゃねぇよ」
「……大したことだよ。
すごくひどく腫れてるもん…っ」
なんだか湊くんの代わりにわたしが泣いちゃいそうだ。
だって湊くん、強がりなんだもん。
『痛い』なんて言わないから。