片恋キックオフ
「……っ」
「わ、痛かった…?」
いきなり足をビクッとさせるから。
シップは冷たいし、痛かったかな…。
「ごめん。
戻らなきゃだし、早く貼ってくんね?」
「え? 戻るの⁈」
「だって、俺…キャプテンだし」
「でも、こんなんでプレーしちゃダメだよっ。
ちゃんと、病院で診てもらってから…」
「この練習試合が大切なんだよ。
来年の大会でどこのポジションにされるか、とか。
誰を出すかが決まるから。
俺ら2年は…20人もいるんだし。
出れねぇヤツだって、いるんだよ…」
でも…!
…だからって、こんなんじゃ余計に痛めちゃうじゃん。
わたしが止めなきゃだよ。
いまはただの打撲とかだとしても。
悪化させちゃダメだよ。
余計にサッカーができなくなっちゃうじゃん。
「ダメ」
「はぁ…。
だから、俺は出なきゃ…「ダメッ!」
ため息を吐かれて。
迷惑だと思われても、めげない。
止められるのはわたしだから。