片恋キックオフ
*瑞姫*
わたしはじっと湊くんの目を見つめる。
…だけど湊くんも負けじと見返してくるから、負けちゃいそう。
「悪化しちゃうよ」
「別に、大丈夫だし」
「だから、ダメだってば…!」
湊くんはまた深いため息を吐いた。
「うっさい」
「……っ」
胸がズキンと痛むけど。
それよりも湊くんの足のほうが痛い。
わたしは、湊くんのサッカーをする姿が好きなの。
本当に一生懸命で……っ。
だから、続けて欲しいのに。
サッカー選手が夢なんだから、夢を叶えて欲しい。
「夢を諦めちゃうの?」
「そんな大怪我じゃねーんだし」
「でも…!
無理してもいいことないよ?
ここは我慢して……、ちゃんと治さなきゃだよ?」
わたしがそう言っても、湊くんはなにも返さない。
…どうしよう。
嫌われちゃったのかな、わたし…。