片恋キックオフ





それに、前よりも話してくれる。
最初はめげそうになるくらい冷たくて。
『別に』しか言わなかったのに。





「あはっ。
もう、『別に』って言わないんだね?」




「そうか?」




「うん。
最初の頃は、ずーっと『別に』って言うから。

めげそうになってたもん」




「悪かった」




「ううん、大丈夫だけどねっ」





いまは湊くんと話せてすごく楽しい。





だけどまだ他の子とはそんなしゃべってるのは見たことないから。





わたしだけなのかな?って自惚れちゃうんだ。
だって“特別”なのかなあって思っちゃうんだもん。





「戻るか」




「うん。 まだ、勝ってるかな?」




「あぁ。勝ってんだろ」




「そうだよね!」





湊くんのプレーは見れなくても。
自分の母校だもん。
たとえ練習試合でも勝ってほしい。




< 120 / 152 >

この作品をシェア

pagetop