片恋キックオフ
ショーウィンドウにうつる自分と湊くん。
うぅ…、やっぱ不釣り合いかも。
で、でも…そんなこと気にしないもん!
「どこに行くの?」
整った横顔に向けて聞く。
「決めてない」
「……へ」
てっきり考えてるかと思ってたから。
わたしもノープラン。
まあ、湊くんらしいからいいや。
「映画でも行く?」
「映画? うん、いいよっ」
映画とか久しぶりだなあ。
というか、部活で忙しくてそんなに遊べてなかったし。
「行くぞ」
「うん」
歩き始めた湊くんについて行こうとしたら。
ぎゅっと右手が湊くんに左手を掴まれていた。
…あったかいなあ。
それよりも、胸がドキドキしていく。
「…緊張しすぎ。
うつるから、やめて」
「えっ。 …あ、う…ごめん」
ばれてた…。
で、でも。緊張しないわけがないもん。