片恋キックオフ





「ねえ、湊くん…」





ガラスコップに入ったコーヒーと氷をストローでまわすと。
カランコロンと可愛らしい音が鳴る。





恥ずかしくて湊くんの顔を見れなくて。
わたしの視線はガラスコップ。





「なに?」




「また…。

部活がない日は、デートしたい…」





顔から火がでそう。





うん、わたし…頑張ったよ。
ちゃんと言えた…。





だって今日だけなんてつまらないもん。
もっと、もっと…一緒にどこかに出かけたりしたい。





「いいよ」




「本当っ⁈」




「あぁ」





思わず湊くんを見ると、湊くんは笑ってた。
…よかったあ。





「わたし、次は…モール行きたい!
わたしね?お下がりでもらったスパイク、サイズがキツくて…足が痛いの」




「じゃあ、また次の休みんときに行くか」




「うん!」





こんな些細なことにも、なんだか幸せだと思っちゃう。





わたしは…湊くんといることだけで幸せになるんだ。





隣にいられるだけで。


笑顔を見れるだけで。


温もりを感じるだけで。





わたしはすっごく幸せになる。





恋ってすごいんだなあ………。
好きな人はわたしの“特別”だし。
それよりも好きな人の“特別”になりたいと思っちゃうんだもん。




< 128 / 152 >

この作品をシェア

pagetop