片恋キックオフ
*瑞姫*
「…うわぁっ……」
杏里ちゃんとのパス練習。
昨日、あんなに『頑張ろう』って決めたのに。
出来なさすぎて、やる気がなくなりそうになる。
杏里ちゃんからのゆっくりのストレートパスを、止めようと足を出すけど、止められないし。
トラップが出来たと思ったら、ゆるゆるのボールしか蹴り返せないし。
「杏里ちゃん、ごめん……」
「最初はみんなそんなモノだよ!
練習あるのみっ」
「うん!」
ここで諦めちゃダメだよね…!
今日頑張れば、明日はできるようになれるかもしれないし!
「杏里ちゃんっ。
トラップのやり方教えてくれる?
そうしたら、少しはマシになるかもしれない…!」
「お、そっか!」
少し離れたところにいた杏里ちゃんは、ゆっくり近づいてきた。
蹴ることも大事だけど…。
1個1個やっていったほうが効率いい…はず。
「えっとねー。
足の親指の付け根らへんで優しく止めるの。
ちょっとあたしにボール転がしてみて?」
わたしは持っていたボールを手で転がした。
ボールは杏里ちゃんの右足近くで、ピタッと止まった。
わたしがやると、動いちゃうのに。
すごい………。