片恋キックオフ





*瑞姫*





「…うわぁっ……」





杏里ちゃんとのパス練習。
昨日、あんなに『頑張ろう』って決めたのに。
出来なさすぎて、やる気がなくなりそうになる。





杏里ちゃんからのゆっくりのストレートパスを、止めようと足を出すけど、止められないし。





トラップが出来たと思ったら、ゆるゆるのボールしか蹴り返せないし。





「杏里ちゃん、ごめん……」




「最初はみんなそんなモノだよ!

練習あるのみっ」




「うん!」





ここで諦めちゃダメだよね…!
今日頑張れば、明日はできるようになれるかもしれないし!





「杏里ちゃんっ。

トラップのやり方教えてくれる?


そうしたら、少しはマシになるかもしれない…!」




「お、そっか!」





少し離れたところにいた杏里ちゃんは、ゆっくり近づいてきた。





蹴ることも大事だけど…。
1個1個やっていったほうが効率いい…はず。





「えっとねー。
足の親指の付け根らへんで優しく止めるの。

ちょっとあたしにボール転がしてみて?」





わたしは持っていたボールを手で転がした。
ボールは杏里ちゃんの右足近くで、ピタッと止まった。





わたしがやると、動いちゃうのに。
すごい………。




< 13 / 152 >

この作品をシェア

pagetop