片恋キックオフ
*瑞姫*
正門のところに佇む、まだ咲いてるのを見たことがない桜の木は、すっかり葉を落としてしまっていた。
…もう冬だもんね。
手を擦りながら学校内に入る。
うう…寒い……。
今日はクリスマス。
なのに午前中は部活。
「みーずーきー!」
後ろから声が聞こえて、振り返る前にどんっとタックルされた。
「うあ…っ。
あ、杏里ってば〜」
「ごめんごめんっ。
今日の午後の予定は?」
唐突に話を変えて、目をキラキラさせる杏里。
今日の午後の予定……?
「んー。家族でクリスマスパーティーとか?」
思いついた末にそう言うと、杏里はガックリと肩を下ろした。
「城川くんは⁉︎」
「え、湊くん? 確か、部活かなあ?」
「はぁ? 男子サッカー午後からなの?」
そ、そんなわたしに怒らないでよ…。
わたしだって本当は、どこかにお出かけしたかったなあ。
街のにある飾り途中で光らないイルミネーションは、今日から光るのかな?