片恋キックオフ
「もーっ。
ふたりってば全然進展してなくない?」
「進展…?」
「キスはした⁉︎」
き……ききキス⁉︎
そんな恥ずかしいの…ま、まだするわけないじゃん。
わたしの心臓、破裂しちゃうよ。
「わたしたちはゆーっくりなのっ」
「いくらなんでも、亀さんペースじゃ遅すぎだよ〜」
「う…。
だ、だって…そんなの恥ずかしいし」
「まあ、瑞姫らしいね」
褒められてるのか褒められてないのかはよくわからない。
…そうだ!
クリスマスプレゼントどうしようかな?
今日、渡せなくても。
やっぱりあげたいしなあ。
「杏里は午後どうするの?」
「残念ながらフリー」
「じゃあさ、プレゼント買いに行きたいな…」
「いいよ行こう!
城川くんがそんな調子なら、あたしが瑞姫を連れまわすよっ」
「ふふ、ありがとう」
杏里はすごく嬉しそう。
そういえば、杏里と遊ぶのも久しぶりだもんなあ…。
他愛のない話をしていると、学校内にあって少し先に見えるサッカーグラウンドにはもうチラホラと人がいるようにも見える。
「そうだ。
蘭ってば休みだってさー」
口を尖らせて恨めしそうに言う杏里。
「もしかして、彼氏とか?」
「そう。
親に内緒で泊りがけだって」
と…泊まり……。
やっぱりわたしと湊くんは亀ペースで十分だ。