片恋キックオフ
*瑞姫*
どうしよう…。
空はますます暗くなって風も冷たくなって。
これは…完全に、迷いました。
周りを見渡せば知らない住宅街。
「……どうしよう…」
やっぱちゃんと湊くんに連絡すればよかったかなあ…。
わたしはスカートをぎゅうっと握った。
ダメダメ…ネガティブになっちゃダメ!
「……瑞姫?」
うろちょろしながら歩いていると、後ろから優しくて低音の声が聞こえて、振り返った。
「み…湊くん‼︎」
そこにはジャージ姿で鼻を赤く染めている湊くんが立っていた。
「なにしてんの?」
「湊くんにプレゼントを渡そうって思って家を探してたんだけど…迷っちゃって…」
うぅ…恥ずかしいなあ。
自分の足元を見つめていると、『ふ』と笑う声が聞こえて顔を上げると、すぐ近くに湊くんが来ていた。
「連絡してくれればいいのに」
「さ…サプライズがしたくて…!」
「俺ん家、ここだよ」
キラキラ輝く笑顔で湊くんはすぐ横の白い大きな家を指差した。
あ、ここだ…。
前にここの前まで来たことあったけど…すっかり忘れてた。