片恋キックオフ
「……っ!
ふ、不意打ちだよ…」
「…ごめん」
「別に嫌じゃないよ?
恥ずかしい、だけ…」
これじゃあ『よかった』って言ってるみたいじゃん!
そう思うと余計に心拍数は上がっていく。
……ファーストキス。
優しくて不器用な愛情が込められたキス。
なんだか嬉しくて、泣きそうになる。
恥ずかしくて俯いてると、桃に白い冷たいモノが落ちてきた。
「え? …雪?」
空を見ると、白くてふわふわした雪がどんどん降ってきた。
天気が悪かったのは雪が降るから?
…ホワイトクリスマスだ……。
「もう寒いし、帰るぞ」
「ねえ、ホワイトクリスマスだよ。
すごく綺麗」
「ふ、人の話聞いてんの?」
笑い声が聞こえて、わたしは視界を空から湊くんにうつした。
「き…聞こえてるよ」
笑顔を見て、またドキドキと心拍数が上がる。
冬なのに寒くない。
マフラーがあるし、キスをしたし、笑顔を見たし。
キスをしたのも。
こんなにドキドキしたのも。
こんなに幸せなホワイトクリスマスも。
———全部が初めてだ。