片恋キックオフ
桜の木にはいつしか小さな小さな蕾がついて。
ゆっくりと綺麗な花を開かせて。
いま、試合会場となるわたしたちの高校には桜が綺麗に舞っている。
そして試合開始になる直前、ダッシュで湊くんがわたしのもとに走ってきた。
「え? どうしたの…?」
「俺、頑張るから。 応援しててな…?」
「うん! 当たり前だよ!
練習試合のときよりも、もっともっと大きな声で応援する!」
わたしがガッツポーズをして張り切ってそう言うと、湊くんは『ふ』とわたしにとってのキラキラな魔法の笑顔を見せた。
「おう。 ありがとな」
始めて会ったときからわたしたちは変わった。
クールな湊くんはすごく笑って、話すようになったし。
気弱だったわたしは少し強くなったと思う。
それに湊くんは1段とサッカーが上手くなったもん。
…勝てるよ。
湊くんなら、やれるよ。