片恋キックオフ





「じゃあ、あたしの真似できる?」




「真似?」




「うん。 ほら、こうやってー…蹴る!」





エアーでやる杏里ちゃんの真似をして、わたしも足の形を作ってみる。





んー、難しい。
こんな難しいの、よくみんなできるね…。





やっぱりわたしは運動は苦手みたい。





「まあ、ゆっくり意識しながらやればいいと思う!

というか…こんなのしか教えられなくてごめんね……。


あたし、技術的に上手いほうじゃないし。

上手いと言えば…。 ほら、あそこにいるポニーテールの子、蘭(らん)がすごいの」





杏里ちゃんが指を差したところにいたのは、友達と喋ってる黒髪のサラサラのロングをポニーテールをした女の子。





わたしは…パサパサの茶髪のセミロングをポニーテールにしてるけど。
ほぼ、真逆って感じ…。




羨ましいなあ。





「蘭はちなみに10番だから…上手いってことね」




「へぇ…そうなんだっ。

すごいんだねー」




「あたしよりか、蘭のほうがいいと思うけど?

いいの? あたしなんかで…」





蘭ちゃんを羨ましそうな目で見る杏里ちゃん。





上手な人のことを羨ましがったりするのはわかるけど。
わたしにとって杏里ちゃんもすごい上手なんだけどなあ。





「うん! 杏里ちゃんが迷惑じゃなければ…!」




「え?迷惑なんかじゃないよ?
じゃあ、毎日…時間があるときは教えるね?」




「ありがとう!」





杏里ちゃんは嬉しそうに微笑んだ。





杏里ちゃんの笑顔、好きだなあ。
変な例えだけど、周りに花が咲くような…ふわっとした笑顔。





疲れてても癒される。




< 15 / 152 >

この作品をシェア

pagetop