片恋キックオフ
本当に十人十色って言うのかな?
いや、わたしたちは十一人十一色。
それぞれいろんな色を持ってる。
「蘭ちゃん、わたし…本当に下手……」
「もう! 下手下手言う暇があったら、練習して上手くなればいいじゃないっ」
「う、うん…!
足引っ張らないように、たくさん練習する!」
「そうだ。 杏里ー!あんたもー!」
少し離れたところからわたしたちを見ていた杏里ちゃんは、蘭ちゃんに呼ばれてこっちに来た。
「ん、なに?」
「杏里もね、少しカタチが悪いところがある。
ねー七海、他の子もみんな呼んできて」
七海ちゃんは『了解』と言って、みんなのところに向かった。
「ねえ、なにがあったの? 大丈夫だった?」
コソッと蘭ちゃんに聞こえないように、杏里ちゃんは耳打ちをしてきた。
「うん。 大丈夫だよ!」
「それならよかった!」
杏里ちゃんはふわっと笑った。
みんな優しい。
わたしなんかのことを考えてくれて、練習に付き合ってくれて。