片恋キックオフ
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「あ、あの…っ。 城川くん!」
教室がオレンジ色に染まる頃。
残ってる人はわたしと寝てる城川くんだけになった。
女子サッカー部はグラウンドの関係もあって月、火、木、土の週4。
今日は水曜日だから部活はない。
城川くんはどうかはわからないけど…。
というか、5限からHRまでずーっと城川くんは寝てる気がするんだけど……。
「し、城川くんっ」
城川くんは壁のほうを向いていて、わたしの声なんかじゃ反応しない。
ど、どうしよう……。
でも、教えてもらうって決めたもん!
め、めげない…っ。
「城川くん!」
部活のときに出す声くらい大きな声を出しながら、城川くんの背中をトントンと叩く。
「しーろーかーわーくー…「うるさい」
へっ…。
お、起きてたの?
城川くんはものすっごく嫌な顔をしながらわたしに顔を向けた。
…近くでみたの初めて…。
城川くんの顔はすごく整っていた。
そういえば、何人もの女の子が城川くんに告白してる姿を見たことある。
モテるんだ……。
「あの…! わたし、城川くんに…「告白? 無理だから」
「え?」
「そういうの迷惑」
表情ひとつ変えずに、城川くんは冷たい声でわたしに言う。