片恋キックオフ
「ち、違います!
わたしは別に城川くんに興味ないですっ!」
ちょっぴり怖いからか、敬語を使ってしまう。
「…は?」
「勝手に決めつけないでください!
わたしは城川くんに……」
「じゃあ、なんなんだよ?」
顔が冷たくて怖くて、なかなか言葉の続きが言えない…。
だって、OKしてくれる気がしないもん…。
「早く言えよ。 帰りたいんだけど」
い、いままで寝てたのに…。
いや、わたしが帰るまで寝てるフリしてたのかな?
「わたしにサッカーを教えてください!」
自分の足元を見つめて、両手でスカートをぎゅうっと握りしめながら言った。
「…………サッカー?」
「は、はい」
「なんで? つうか、お前…サッカー部なん?」
「あと3週間限定ですけど…。
試合に出るので、みんなの足を引っ張らないように上手くなりたいんですっ」
だからお願い…。
教えてほしいんだけどな……。
チラッと城川くんの顔を見る。
城川くんはさっきみたいな冷たい表情ではなくて、驚いた顔をしていた。
わ、初めて見た…。