片恋キックオフ
「着替えたらさ、裏庭来て」
「……裏庭ってどこかな…?」
わたしが聞くと、城川くんは はぁとため息を吐いた。
「あーもう、わかった。
下駄箱にいるから。 …それならいいだろ?」
「ん、ありがと…!」
城川くんは荷物を持って教室を出た。
男の子と話したのは久しぶりだからかな?
なんか、胸が少し速く波を打つ…。
あ!急がなきゃ…!
待たせたら悪いもん!
わたしはスクールバックを肩に掛けて、ロッカーに入るサッカーの練習着を取り出した。
体育着じゃなくてこっちでいいよね?
この前…せっかく杏里に選んでもらったし……。
わたしは急いで教室を出る。
誰もいないしんみりとした廊下は、少しモワッと暑くて速歩きで歩くだけで服の中がムシムシする。
わたしはその歩くペースで向かった、近くにある更衣室に入った。
わたし…下手すぎて、城川くんに笑われちゃうかな?
ううん、城川くんはきっとそんな人じゃないよね…!
着替え終わって、わたしはセミロングの髪を鏡を見ながらポニーテールにまとめた。
そしてタオルと水筒を持って、ロッカーの鍵をかけて更衣室を出る。
自分なりに急いだけど…城川くんはもう待ってるかな?