片恋キックオフ
ちょうど下駄箱の向こうからこっちに向けて日が差していて、わたしは目を細めながらゆっくり歩く。
すると下駄箱に城川くんは寄っかかっていた。
「遅れてごめん…っ」
「……別に。 行くぞ」
「うん!」
わたしはすぐにローファーに履き替えた。
練習着にローファーを合わせるのは変だけど、みんなグラウンドまではこんな格好だから、別に気にもならなくなった。
スタスタ歩いて行く城川くんの後ろを小走りでついていく。
わたしの身長は153cmで、細かくはわからないけど。
城川くんの隣に並ぶとわたしはかなり城川くんを見上げることになるから、…175cmはあるなあ…。
すごく高いし、足は長いし…。
羨ましいかぎりだよ。
「ここが裏庭」
着いたのは、学校の裏にある林と校舎の隙間にある芝生の部分。
「こんなところあったんだ……」
「あぁ。 …ボール持ってくっから、待ってろ」
「…うん」
城川くんは来たところを戻って行った。
暗くなると怖そうだけど、練習するにはここしかないよね…!
グラウンドを使うわけにはいかないもん。