片恋キックオフ





「あ」




「なに? 城川くん」




「着替え終わったら、また下駄箱にいて」




「へ?どうして…?」




「こんな暗くなったし。
危ないから、送る」





相変わらず感情はこもってるのかこもってないのかわかんないけど。
今日 初めて知った。





………城川くんは意外と優しいってこと。





それに、話しかければ…迷惑そうだけど無視はしないでちゃんと答えてくれる。





「でも、悪いしだいじょう…「いいから。 ……俺の言う通りにしとけ」




「う、うん…!」





わたしたちはそれぞれの更衣室に入っていく。





そしてもうひとつ知った。
…城川くんは少し俺様要素があること。





初めて話したのに。
初めて顔をちゃんと見たのに。





たくさん知れたし、たくさんサッカーのこと教えてくれた。





インサイドキックもかなり上手くなったと思う。
やっぱり、城川くんてすっごいんだなあ…。





頭の中はサッカーよりも城川くんのことでいっぱい。
気持ちもなんだかふわふわしてる。





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