片恋キックオフ
「重くない?」
「別に」
また、沈黙。
ん〜、どうにかして話を続けたいのに、城川くんの口から『別に』が出ると、話が終わっちゃうなあ。
「ちゃんと捕まって」
「遠慮なくそうします…」
わたしは少しドキドキしながら、城川くんの腰に腕を回した。
見た目は細身なのに、意外としっかりしててなんだか落ち着く…。
「城川くんは、どこに住んでるの?」
質問すれば返してくれるからと考えて、わたしはパッと頭に浮かんだことを聞いた。
「ここからチャリで10分のとこ」
「ふぅん、そうなんだ。
あ! わたし、ナビしたほうがいい?」
「あぁ」
う…ダメだ。また話が続かない。
こうなったら…適当に質問してくしかない!
「ねぇ、城川くんは兄弟いるの?」
「小2の妹」
挙げ句の果てには単語で返された…。
ダメだよ!めげないもんっ!
「わたしはね〜大学1年生のお姉ちゃんがいるんだー。
じゃ、じゃあ…妹さんの名前は?」
「…個人情報」
「え」
もうダメ…。心折れちゃいそう。
城川くんってば、サッカーを教えてくれるときはすごい話してるのに…。
———あ!そっか!
サッカーの話すればいいんだっ。